「お金の価値は年々下がっていく」というと、意外に思うでしょうか。
確かに多くの方が、「お金」=「価値」という認識を持っており、なかなかお金の価値が下がるということがイメージしにくいかもしれません。
ですが現実に、少し前まで、アイスはコンビニで100円払えば買えましたが、今は150円払わなければ買うことができません。
アイスの内容量や成分に変更はないことから、アイスを基準に考えると、お金の価値が50%も下がったということになります。
日本は長らく物の値段が変わらず停滞していましたが、昨今では物価の上昇(お金の価値の減少)が、身近なさまざまなところで見られ、生活への影響を実感しておられるのではないでしょうか。
このことから、単に現在の財産を目減りさせまいとするだけでも、少なくともインフレ率と同じだけのリターンを上げ続けなくてはならないことになります。
例えば、子どもが成人した時に車を買ってあげようと、毎年貯金によりお金を貯めた結果、子どもが成長しお金をいざ使うべき時期において、車の値段が大きく上がっており、全く購入資金に届かないということになり得るのです。
定期預金に預けても年率0.002%という超低金利の時代において、元本が減らないという理由で貯金をするのは一見リスクがないように思えますが、インフレによる購買力は年々目減しており、見えづらいけれども極めて大きいリスクを背負っていることになるのです。
つまりリスクを取らないリスクがあるということです。
これに対して株式は原理的にインフレ・ヘッジが効いており、少なくともインフレの進行がそのままマイナスの影響を及ぼすことはないとされています。というのは、理屈の上では、インフレが1%進めばすべてのものの値段も、工場や機械設備の価値も在庫の評価額も、インフレにスライドして1%上昇するはずで、利益や配当額もインフレに歩調を合わせて増加するはずだからです。
このことから、購買力の維持の観点において、少なくとも資金の全てを貯金とするのではなく、一部は投資に振り分けることがリスクを減らすことにつながるのです。