昨今、貯蓄から投資に資金を向けることが促されていますが、ほとんどの人が運用目標をしっかり設定することなく、漫然と投資しているのではないでしょうか。
株式への投資について、「長期的には年率7%のリターンが得られる」という言葉の表面だけとらえ、リスクを認識することなく、7%のリターンのみを期待するのは非常に危険です。
株式について「長期的には7%を超えるリターンが期待できる」ということは歴史的正しいことですが、ここでいう「長期的には」ということが非常に重要です。
では投資する上でのリスクとは何でしょうか。
投資のリスクとは、具体的には、証券の期待したリターンが実現しない可能性であり、特に値下がりの可能性の大きさです。
例えば、1970年以降、アメリカの株式は平均で年率8%のリターンを上げています。しかし、このリターンは投資家がかなりのリスクを負った結果得られたものです。というのも対象となった年のうち30%は、総リターンがマイナスであったのです。
このことから運用目標というのは、自分がどこまでリスクを取ることができるか又長期投資を堅持できるかを判断することと、ほぼ同義と言えます。
つまり、長期的に7%のリターンを得るために、あなたはどの程度まで元本損失の期間を許容できるかということです。
短期的には、大幅な上昇や、大幅な下落があります。
株式にいくら投じて、何年でいくらにしたいのか。
という目標は、その間、資産が急落しても耐えられるのかとセットで考える必要があるのです。
株式を「長期間」保有し、一度買ったら多少の価格変動があっても我慢して持ち続けるという基本方針を貫ければ、リスクの全部ではないが、かなりの部分を減らすことができます。
多くの人が、「長期的には」という言葉を意識していないため、株式市場が暴落した時、パニックに陥り、怖くなって衝動的に持ち株を全部処分してしまうのです。